#19 USBとは

サマリ

想定読者:通信規格に興味がある方 / 想定時間:15分~20分程度
 第19回目のテーマは、USBについて取り上げます。これから数回に亘り、徐々に深堀していきたいと思います。


#1 広く一般的に利用されている規格

 皆さんUSBと聞いてこれだとイメージできますでしょうか? もしかすると、今の中学生以下の子たちはスマホで生活が成り立ってしまう世の中ですので、USBと聞いてもピンとこない子も多いかもしれませんね。
 仮にそんな子たちでも、スマホに電源ケーブルを指して充電していると思います。まさにそれがUSBなので、知らずとも利用しているぐらい、世の中で一番浸透している規格だと思います。そんなUSBを数回に亘って、最後は設計レベルまで深堀していきたいと思います。

 さて、USBですが、一般的な利用シーンとして、マウスや(USB)メモリなどで使用されていることが想像できると思います。例えばマウスがどのような機能を持つかというと、ユーザーの操作を画面に表示されているカーソルに伝える伝達手段を担っていることになりますので、まさにUSBはその情報の通信のために利用されているわけです。
 既に記載したように、通信だけでなくスマホやノートパソコンの充電ケーブルなどにも一般的に利用されていることから電源機能もあると言えますね。有線でマウスを利用している際に、電池をマウスに入れた経験は特に無いと思います。これもPCから電源をマウスに供給している、その役割をUSBが担っているからと捉えることもできます。

(左:Amazon ベーシックマウス、右:ノートPC用ACアダプタ)

 少し外れますが、2022年に、EUでiPhoneのケーブル(Thunderbolt) との利用が対比される指令が出て話題になったこともあります。※DIRECTIVE (EU) 2022/2380 (https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2022/2380/oj
 名目は環境負荷や規格の統一を掲げているわけですが、Appleとしては堪ったもんじゃありません。当時は訴訟に踏み込むかという噂にもなりましたが、結果的には費用対効果を考え、USBに迎合する方針を取ったことで話題になりました。ユーザー目線だと接続コネクタは一つの方が楽だしありがたいので嬉しい話ですが、この事例のように国家/企業間の競争にも影響するほど、USBは一般的に利用されていることがわかる事例として紹介しました。

#2 有名企業が協議しながら規格を推進

 ここまでUSBを利用シーンから見てみました。USBが概念のように捉えられるかもしれませんが、実際には、USBとは通信規格のひとつとして定義されています。
 USBとは“Universal Serial Bus”の略で、読んで字のごとくユニバーサル(汎用的)なシリアル・バス(直列の線)程度の意味ですので、かなり汎用的な命名をされていると思います。そんなUSBはどのようにして定められているのでしょうか。

 USBは、“USB-IF“というフォーラムで規格を推進しています(https://www.usb.org/)。ここには、Intel, Microsoft, Apple, HPなど有名企業が参画しており、それだけ関心が高い領域であることもわかります。様々な企業がそれぞれの案を持ち寄り、議論し、共通化を促進しています。

USB-IFのサイトより(一番上の欄から各種にアクセス可能)

 ホームページを伺うと、これまでの検討経緯や関連ドキュメント、テスト仕様などを見ることができます。また、まだユーザーには馴染みのない”USB4″の文字を見ることが出来ます。現在も規格を策定中ですので、規格が定まり次第、実物の設計・製造を開始し、消費者の手元に普及していくと考えると、数年先にはまた更新が入りそうと考えることができますね。

USB-IFのサイトより(”USB4”の議論を鋭意実施している)

#3 時代の変遷と共に仕様も変化

 USBの歴史はまさに標準化の歴史の一部と捉えることが出来ます。コンシューマー向けのPCが普及し始めた黎明期、メーカは各々の通信規格、コネクタを定義していました。メーカにとっては楽なのですが、ユーザにとってみては、互換性が担保されていないことからメーカ間での接続ができない、専用の変換ケーブルが必要になるなど、ユーザビリティに関しては苦労していた時代でした。

 そんな中、1995年頃から標準化の潮流から、“ユニバーサル“の名のもとに共通化の推進のために登場しました。当時はUSB0.8/0.9などが検討され、1996年頃にUSB1.0がリリースされました。この頃から、機器に電源を入れている状態でも接続ができる(切り替えができる)画期的なホットプラグ機能を最初から盛り込んでいたのですが、直ぐには普及しませんでした。
 その後、通信速度を改善したUSB1.1が1998年にリリースされ、この頃から各種の企業が採用する流れが強まり、一気にUSBは市民権を得たと記憶しています。
(ただ、まだまだパラレルポート(下の右側の写真)みたいにガチャっと接続するコネクタも一般的でした。これはこれでロマンがあります)

USB1.1ケーブル(左:Type-A /右:Type-B)

パラレルポートーケーブル

パラレルポートーPC側コネクタ



 参画する企業が増えるとなると、企業間の製品での互換性が生まれることから、規格もますます汎用的なものに進化していきます。ここからは早いもので、USBを接続するだけで初期設定が完了するような仕組み(プラグ・アンド・プレイ;昔は機器を変えるたびに、PCにフロッピーディスクやCDからドライバをインストールしなければなりませんでした)がリリースされたり、時代に合わせて通信速度への対応が進化していきました。

USB1.1(12Mbps /1998年) → USB2.0(480Mbps /2000年) → USB3.0(5Gbps /2008年) → USB3.1(10Gbps /2013年) → USB3.2(20Gbps /2017年) → USB4.0(40GBps /2019年(継続中))
※全て理論値

 昔を知っている方はUSBと聞くと、上図にあるようにUSB1.1の長方形の四角に加えて、正方形のような反対側があったのを覚えていらっしゃるかもしれません。コネクタの形状も年々変化しています。当初は主従の極性があったため、差し間違えないようにあえてコネクタの形状が分かれていたのですが、今では同じコネクタ形状になっていますよね。徐々に小さくなっていますし、また、近年のType-Cに代表されるケーブルでは、コネクタ口に対してケーブルの接続向きを上下逆でも問題ないように改良されています。このように中身の通信規格だけでなく、コネクタの形状もユーザビリティに合わせて改良されていることが見て取れると思います。
(一目で互換性を視認できるようにUSB3.0のコネクタやケーブルに青色の部分を取り入れたのも、画期的でわかりやすいなと当時関心していました)

ドスパラの記事、”USBのコネクタ形状の違い”、掲載の図を引用(引用元:https://www.dospara.co.jp/parts_accessory/str_peri_usbtypec.html




 ここまで、一般的な内容をまとめてみました。ここから、徐々にUSBの”仕様”の部分に踏み込んでいきたいと思います。