#26 スマートマニュファクチャリングとは

サマリ

想定読者:業界・バズワードに興味がある方 / 想定時間:15分~20分程度
 第26回目のテーマは、スマートマニュファクチャリングについて取り上げます。前回まで技術的で込み入った内容が続きましたので、いったんリラックスして、業界動向を見ていきましょう。



#1 NEDOが中心となって提唱

 早速ですが、スマートマニュファクチャリングは、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が提唱しています。
(参考サイト:https://www.nedo.go.jp/library/smart_manufacturing_guideline.html
 なお、NEDOだけでなく、METI(経済産業省)、日本能率協会コンサルティングも参画して作成している模様ですが、2025年3月時点で、METIがまとめていた”スマートファクトリーの記事”が見れなくなっていることから、もしかするとこちらに併合した可能性が有ります。

 中身を見るとスマートマニュファクチャリング構築ガイドラインとしてドキュメント化されており、なかなか肉厚な内容でしたので、この記事以降、複数回に亘って取り上げられたらと思います。

 基本的には、スマートファクトリーの概念をより具体化した内容になっています。インダストリー4.0でスマートファクトリーは提唱されていますが(詳しくは本記事を参照ください)、概念であり、その中身は具体化されてはいませんでした。そんな中、DX化を推し進めるためにも、中小企業の方にもわかりやすくインダストリー4.0の系譜から日本独自の解釈を加えて展開したのではないかと推察しています。

#2 スマートマニュファクチャリングとは

 さて、中身を見てみましょう。まず定義は以下のようになっています。

 まず着目すべきは”経営課題”の解決に向けられたものです。目の前の業務効率化に留まっていないことを示唆していますね。また、そのためには、開発設計、生産管理など、バリューチェーン全体にわたって検討すべきということも示唆されています。最後に解決手段としては、スマートファクトリーの定義からもデジタル技術となっていますね。

 次に全体構想を見てみましょう。本書曰く、7つのリファレンスを元に効率化や標準化を目指すべしとのことで、以下の図が記載されています。


 全体感を掴みましょう。外的要因と内的要因をぶつけることで、MECEを担保していることがわかります。そのうえでギャップを分析し、目指す姿の定義とその課題分析を用いてロードマップを描く、そんな手法となっています。これ自体がフレームワークではなく、検討の順序になっているので、困っている方は①から順に検討していくことが示唆されていますね。

#3 検討段階に沿ったリファレンス配置

 中身を見ていきましょう。まず初めに①として外部環境の調査が取り上げられています。昨今、VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性 の頭文字)の世の中と言われ、コロナや戦争など大きなうねりもある中で、AIやデジタルツインなど技術も大きく変化しています。このような環境変化に加え、競合の動きもみつつ、自社として冷静に捉え、変革の起点を見つけようという章になっています。

 次に②として内部要因の調査が取り上げられています。特に製造業種限定ですが、自社がどのようなバリューチェーンになっているかの分析を通じて、変革の基点を見つけようという章になっています。こちらは、本書にてフレームワークが提示されているので、後ほど詳しく見ていきましょう。

 彼を知り己を知れば百戦殆からず (孫子)

 余談ですが、上記は孫子の名言で、私が特に好きな言葉になります。敵だけでなく自身も知ることで、初めて常勝になれるとの意味です。今回では、外部環境と内部環境を見ることで、初めて企業の変革の意義を見出すという上記につながると思いご紹介いたしました。

 外部と内部を分析出来たら、最後に変革シナリオの作成を実施します。③として課題マップ、④として実現レベルの定義、⑤として仕組みの構築と紹介されています。これも基本的には上から順に検討すればよいのですが、③が一番重要だと私は捉えています。ここで意味のない課題を挙げ、優先度が”高”になってしまっていると、今後かけた労力に見合わない成果になってしまいます。如何に課題を作りこめるかが重要ですので、また別記事で一緒に見ていきましょう。

 変革シナリオが出来たら、今度は実行に向けた活動が必要になります。そのために、⑥として成功確率を高めるためのプロジェクト設計が取り上げられています。ここでは、具体的に業務プロセスの要件定義からRFP(提案依頼書)、実装までどのように取り組むべきかが紹介されています。ここは本書ではなくとも、例えばPMBOKなどプロジェクト推進に関する参考事例(考え方)は世に溢れていますので、適宜参考にすればよいと思います。

 最後に、⑦として困ったときのためのケーススタディが取り上げられています。概略ではありますが、成功事例として、システム図や成果(定量効果)、プロジェクトの期間などが紹介されており、もし初めて改善活動にトライする方であれば、まずイメージを掴むためにも是非読んでいただきたい内容になっています。ただ、自社として①外部環境と②内部環境の分析、簡単でも③の課題を一通り分析してみてから、精度を上げるために見たほうがよいとは思います(事例が全て課題から紐づく成果紹介になっているため)。



 次回以降は、これらの中身について深堀していきましょう。