#3 機器の構成(概要)

サマリ

想定読者:初学者の方 / 想定時間:20分~25分程度
 第3回目のテーマは、PCやスマホの中身を通じて機器の構成について少し深堀していきます。また、最後に合わせて産業目線からの押し引きも簡単に記載してます。


#1 ノイマン型コンピュータとは

 ノイマン型コンピュータ、、、いきなり結論として専門的な言葉が出てきましたが、こちらが現在世にあふれる機器の中心的な思想になっています。その特徴は、以下になっています。

プログラム記憶方式:プログラム(命令の流れ)とデータをメモリ(主記憶装置)に記憶する
逐次処理:メモリに記憶された命令をひとつずつ読み足して解釈、実行する

引用:コンピュータ概論ー情報システム入門 第9版 共立出版株式会社

 専門的な用語は置いておいて大丈夫です。まずは、これをポンチ絵に起こすとこのような感じになります。

 まずは、動作概要をイメージしてみましょう。一番身近な例だと、スマホやPCなどの再起動を想像してみてください。電源が一度切れた後、ロゴが出てしばらく待っている時間があると思います。その間に機器は何をしているかというと、使用者に見せない状態でメモリからプログラムを読み込み、その命令に従って起動処理をかけています。また、プログラムの実行上、データが必要であれば適宜必要なデータをメモリから取ってきて処理しています。例えば使用者のアカウント情報などですね。
 このように、ノイマン型コンピュータではあらかじめ用意された命令を元に実行する思想になっているのですが、そのためには、命令やデータを格納する部分=メモリ(記録装置)と、プログラムを処理する演算部分が必要になりますね。

 次に、どのようにこれを現実世界で実現するかを考えてみましょう。様々な歴史背景から以下のような構成が主流になりました

 演算と記憶に加えて、入力、出力、制御が追加されていると思います。実際にはコンピュータを操作する必要があるので、使用者との情報連携のために、入力と出力が加えられていますね。また、各部分が独立して動くとおかしなことになりそうですので、全体を統括するような担当の制御が加えられています
 世の中にある機器は、厳密には動作するための電源部分もあるのですが、上記の5つ(演算/制御/記憶/入力/出力)で構成されています。

#2 分解した部品を元に照らし合わせてみる

 それではこれまでずっと見てきたスマホの分解図を元に照らし合わせてみましょう。下図は再掲になります。

出典:IT Media NEWS 折りたたみスマホ「Galaxy Fold」をiFixitが分解 ヒンジ周りからディスプレイにゴミが入りそう(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1904/25/news070.html) の図を元に筆者編集

 この構造をあてはめてみましょう。すると以下になります。(電源部分除く)

#3 ルールに基づいているから各々に生産できる

 如何でしたでしょうか。これらの大枠の構造はどの機器も同様になるため、PCでもスマホでも分解すると基本的な構造は同じになったのです。
 ここで少し産業的な目線で考えてみると、ある程度同様の構造になるということは、製造会社が各々で独自に機器を開発・生産しても、基本的には互換性を持った形で販売でき、また組み合わせることもできると言えますね。ルール・区分けがしっかりしているからこそ、ここまで産業が発展したともいえます。逆に捉えれば、黎明期はこのルールを各々が確立しようとしていたために、企業としてあまり大規模な投資に動けず、また、それぞれの機器の間に互換性が無く、使用者には不便な(ニッチな)時代があったわけです。(これは規模の問題で、例えば今でもAppleのlightningケーブルは、スマホには刺さらない独自路線を走っているので大小どこかしら互換性の問題は出てきてはいますね)
 このルール・区分けという単語の実態は“規格”であり、古今東西、様々な規格が存在します。産業の発展のためには統一したほうが製造しやすく普及しやすいですが、企業としては自社が有利に製造して利益を稼ぎたいため、あまりにもどこでも作れる規格だと困ります。ここの押し引きが非常に面白いのですが、こういった話はまた別の機会で触れてみたいと思います。