#5 規格/インタフェースについて(概要)

サマリ

想定読者:初学者の方+α / 想定時間:10分~15分程度
 第5回目のテーマは、規格に基づくインタフェースについて取り上げたいと思います。具体的な規格名も触れていきますので、聞きなじみのない単語も登場すると思いますが、この回では雰囲気だけを掴んでもらえれば大丈夫です。


#1 聞きなじみのあるUSBやHDMIも規格の一つ

 前回、マザーボードに触れた際には既に情報(データ)が入ってきている想定で進めていました。今回は、その部分の深堀として、具体的にどのように連携しているかに触れていきたいと思います。
 結論を先に記載すると、全て規格に基づいた接続端子が用意されており、その接続端子を通して情報のやり取りを実施しています。もし、何もルールが定まってない状況を考えてみると、利用者は一から接続の通信方式やコネクタの形状などを決めなければならないので、かなり労力のかかる作業になりそうだと想像できますね。ですから、よほど特殊な事情が無い限り、規格をフルに活用しています。

あまり難しく考えることはなく、例えば、スマホの充電ケーブルに採用されているUSBも規格のひとつです。(右図参照)。USBは、Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)の略で、名称からも何に使うかは特に定義されておらず、”シリアル通信を用いた線”ぐらいの規格となっています。(※シリアル通信については別途触れたいと思います)。規格はあくまで通信方式しか定義してないため、だからこそUSBの使われ方は多種多様であり、様々な機器が相互通信する際によく使われています。

例:ANKER製 USBケーブル

また、テレビやディスプレイと接続する際に良く用いられるHDMIケーブルのHDMIも規格名です。(右図参照)。HDMIは、High-Definition Multimedia Interface(高細度・マルチメディア・インターフェース)の略で、USB同様こちらも名称からは何に使うか明言されておらず、高精度・マルチメディアとあるので、どこか映像系に強い規格のように推測できますよね。HDMIも使われ方は多種多様であり、様々な機器が相互通信する際によく使われています。(※通信方式など具体的な内容は別途触れたいと思います)

例:BUFFARO製HDMIケーブル

#2 マザーボード内部の接続も規格で統一されている

 前回、例示したマザーボードの中にも規格が出てきていました。“スロット“と書いた部分は全て規格を活用した接続方式になっています。

ハードディスク(HDD)との接続と吹き出しに書いていた部分のマザーボードをよく見てみると、SATAという文字が彫られています。SATAとは、Serial Advanced Technology Attachment(シリアルATA)の略で、またシリアルという言葉が出てきましたが、ここでは、ひとまずハードディスクとつなぐ際によく使う規格なんだという認識だけで大丈夫です。参考までに、右図がコネクタに接続するケーブルになります。

例:サンワサプライ製 SATAケーブル

もう一つの”スロット”の言葉はメモリの部分に書いていました。こちらはケーブルが存在せず、直接基板と基板をがちゃっとはめるタイプの接続方針を採用しています。右図にメモリのサンプルを載せていますが、下の方に金色に光っている鍵盤のような部分があると思います。こちらの面を直接マザーボードに差し込むことでケーブル無しに接続しています。規格としては、PCI-Express:Peripheral Component Interconnect-Express(PCIe)の略で、”ピーシーアイエクスプレス”などと呼びますが、かなりマニアックなのでこのへんにしておきます。

例:Samsung製メモリ

#3 規格に基づいているから各々に生産できる

 何回も出ているフレーズですが、重要なので繰り返しています。インプット/アウトプットが明確に定義されているからこそ、互換性を担保しつつ、それぞれの会社が各々に開発・生産できるわけですね。
 上記ではイメージをわかりやすくケーブルでお伝えしていますが、実際にはケーブルが通信のやり取りをしているわけではありません。ケーブルはあくまで通信路(道路)であり、その両方の末端に通信を制御するチップがいて、相互でやりとりしているわけです。このチップの中に規格に基づいた制御機構(仕組み)が搭載されています
 なお、この規格の制定に向けて様々な企業がアライアンスを組んでいます。例えば、USBの参加者は、Apple, HP(ヒューレット・パッカード), Intel, Microsoft, Renesasなど、IT業界では有名な企業が数多く参画しています。(参照先:https://www.usb.org/members)。だからこそ、USBはここまで普及していますし、規格自体も廃れずに時代の流れとともに更新されてきていますね。(USB 2.0/3.0/Type-C…など、様々なUSBの種類を耳にしたことがあるのではないでしょうか)
 規格の制定に向けた活動や、規格自体の通信の仕組みなど、まだまだ深堀出来る部分は多々ありますが、また追々見ていきましょう。